久しぶりの読書記録です。
以前、韓国の大邱にある独立系書店のオーナーさんがSNSで紹介してから気になっていた本をようやく読みました。
韓国の旧正月の連休初日(土曜日)に届いて、その日のうちに読み終えるくらい物語に引き込まれてとてもおもしろかったので紹介します。
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우리가 겨울을 지나온 방식(私たちが冬を過ごしてきた方法)/문미순(ムン・ミスン)
https://product.kyobobook.co.kr/detail/S000201932996
第19回世界文学賞受賞。
主人公は、ミョンジュンという名の女性と、ジュンソンという青年。二人の共通点は、介護のために、親の住むマンションに身を寄せているという点だ。そして701号室と702号室に住む隣人どうし。
物語はミョンジュンという女性と、ジュンソンという青年の視点が交互に入れ替わる形で進んでいく。
物語がはじまっていきなり、帰宅したミョンジュンが亡くなっている母を発見するシーンが登場する。狼狽するミョンジュン。すると母のスマホが鳴った。それは年金の受給を知らせるメッセージだった――。
ミョンジュンはその足で銀行に向かって、母の年金を下ろして、母の死を隠蔽することに決める。
もともとミョンジュンの母と交流のあったジュンソンは、姿を見せなくなったミョンジュンの母を心配してミョンジュンの様子を気にかけるようになる。ミョンジュンはそんなジュンソンが目障りでたまらない。
ミョンジュンと違って、明るく前向きに父の介護に臨んでいたジュンソン。昼間は父の面倒を見るため、父が寝静まった後、代行運転をして家計を支えていた。
そんなジュンソンも、好転しない父の状況や、将来の不安から少しずつ気を病んでいく。
そしてジュンソンがこれ以上ない不幸に見舞われたとき、ミョンジュンが手を差し伸べて二人の人生が交わっていく。
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ほんの出来心で犯してしまった罪を後悔するミョンジュン、不運にばかりおそわれるジュンソン、出口の見えない介護という労働、報われない一方通行の親子関係……
扱う題材が暗くて、終始どんよりした雰囲気が漂っているけど、それを超えるテンポで物事が展開していくのでどんどん話に引き込まれていきました。
二人の間に憐憫のような感情が生まれてからは、自然と二人を応援する気持ちに。
子育てや介護など、韓国では「돌봄(ケア)」と言って、ここ数年関連する本がたくさん出ています。そんなケアの問題点を、ミステリーと絡めて読者に投げかけているのが見事だなと感じました。
ふだんから興味をもっている分野なので、とくに刺さったのかもしれません。
新年早々、とてもおもしろい1冊に出合えました。